今年度の夏季研修旅行では、大阪府吹田市の国立民族学博物館に訪れました。今回の研修の個人的な意義や学びは、特にイスラーム宗教圏の広がりやその規模について各国の民 俗・文化的なイスラーム宗教との関わりや、影響を展示物から知ることができたことにあります。
みなさんは、イスラム宗教が広まっている国といったらどの国を思い浮かべます か?かつてオスマン帝国があったトルコや、サウジアラビアなど、どちらかというとユダ ヤ教から派生し、イスラム教が生まれた西アジアを中心に考えがちですが、実際の所はヨ ーロッパの一部や、南米にまでイスラム協力機構は広がっています。ただ、世界各地のイスラム教の宗教の形は各国元来の文化と結びつき、それぞれに若干 の違いが見られることがわかりました。身近な国としては中国で、中国には唐王朝の時代 にイスラム教が伝来しました。その時代のイスラム教は唐の首都であった長安にモスクが 建設され、中国語で「清真寺」と呼ばれていました。このモスクは調べて画像で出てくる ような中央アジアの建築様式とは異なり、中国独自の建築様式にて築かれたそうです。
また、現在主要なイスラーム文化圏として名が上がるパキスタンやパングラデシュとい った南アジアの国々ですが、元はイスラム教との結びつきがなく、唐と同じ 8〜10 世紀に 徐々に伝来していきました。結果として、現在にも通ずる言語体系や、生活様式を中心に変化をもたらしました。中国(唐)においても、南アジアの国々、また、他のイスラームに従う国々においても主 に8〜10 世紀に伝来していたことが展示物からわかり、イスラーム商人が他国との貿易を 通じて宗教を伝播させていたのではないかという新たな気づきや、新たな視点を得ること ができました。(文責:平ゼミ3年腰越)